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法律相談BOX−質問箱−

 不貞行為があったが夫婦関係が破綻しなかった場合の慰謝料は?

 夫が不貞行為をしましたが,色々と話し合って離婚自体はしませんでした。しかしながら,相手の女性に対しては腹が立って仕方ありません。
 夫婦関係を維持したまま慰謝料請求をしたいのですが,可能でしょうか?

 不貞行為の慰謝料は婚姻関係の破綻についての精神的損害への賠償が中心なので,婚姻関係が破綻しなかった場合の不貞行為の慰謝料は,かなり減額されます。

 不 貞行為の慰謝料


 不貞行為があれば,民法上の不法行為として,精神的損害を受けたことにより慰謝料の請求ができます。
 ただ,通常は,不貞行為の結果,婚姻関係が破綻した(離婚或いは別居等)ことをもって慰謝料の請求をすることになります。
 では,不貞行為があったにもかかわらず,夫婦関係が継続している場合にも慰謝料の請求はできるのでしょうか。
 夫婦関係が継続しているということは,妻は不貞行為があった夫を許していることになります。
 そうすると,そもそも不貞行為というのが夫と愛人の2人によってなされた不法行為であることを考えると,その一方の当事者である夫を許していながら,他方当事者の愛人のみに慰謝料を請求することが可能なのかとの疑問もあります。

 婚 姻関係が破綻していなくても慰謝料を認めた判例

 かような場合につき,婚姻関係が破綻していなくても慰謝料を認めた判例があります(東京地裁平成4年12月10日判決)。

 この判例では,「婚姻関係の平穏は第一次的には配偶者相互間の守操義務,協力義務によって維持されるべきものであり,不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあるというべきであって,不貞の相手方において自己の優越的地位や不貞配偶者の弱点を利用するなど悪質な手段を用いて不貞配偶者の意思決定を拘束したような特別の事情が存在する場合を除き,不貞の相手方の責任は副次的というべきである。」という総論を述べています。

 そのうえで,

@不貞行為に主導的だったのは上司であった夫であったこと
A夫が不貞行為にいたったの,妻と夫の夫婦間における性格・価値観の相違,生活上の感情の行き違い等が全く無関係であったかどうかは疑問であること
B妻が夫を宥恕していること
C妻と夫との関係はともかくも修復し,現在は夫婦関係破綻の危機は乗り越えられたものと認められること
D不貞行為関係は,愛人側からの主体的な行動によって解消されたこと
E愛人側も,相当に悩み,勤務先を退職し郷里の実家に戻っていることで社会的制裁を受けていること

等の事情から,慰謝料額を50万円としました。
 不貞行為があった夫を宥恕している場合には,慰謝料額は0円にはらないにしろ,相当程度減額されることになります。

 以上のとおり,裁判所は,かように夫婦関係を修復させる方向で決断をしたのであれば,あまり過去の行為について慰謝料請求をすることに消極的だとも思えます。
 とはいえ,慰謝料増額のみを目的として離婚をするというのも本末転倒と思われます。
 ですから,離婚をしない場合に,不貞行為の相手方慰謝料請求までするかどうかは慎重な判断が必要です。
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