法律相談BOX−質問箱−
10年後に発見された瑕疵を賠償請求できますか?
今から10年前に,マンションを購入しました。
購入したときには,気がつかなかったのですが,最近,雨漏りがするので調査したところ,もともとマンションの防水が不備だったという瑕疵があることがわかりました。
瑕疵を発見したのが最近なので,損害賠償請求ができるでしょうか?
購入したときには,気がつかなかったのですが,最近,雨漏りがするので調査したところ,もともとマンションの防水が不備だったという瑕疵があることがわかりました。
瑕疵を発見したのが最近なので,損害賠償請求ができるでしょうか?
瑕疵担保責任は,法律上は瑕疵を発見してから1年以内に請求できることになっています。しかし,判例で引き渡しから10年で時効消滅するとされています。
瑕 疵担保責任の除斥期間とは
売買の目的物に隠れた欠陥(これを「瑕疵(かし)」といいます。)があった場合には,買主は瑕疵の存在を発見してから,1年の間は,害賠償ないし契約解除ができることになっています。この責任を瑕疵担保責任といいます。
「隠れた」というのは,契約時には,その存在を知り得なかった売買対象物の欠陥のことです。ここで欠陥というのは,契約の対象物が通常有すると期待される性状あるいは契約の当事者が特にその存在を保証した性状を備えていないことをいいます。 隠れている瑕疵について,売主に責任があるかどうかにかかわらず,この責任は認められています。売買取引の安全性を図る趣旨といわれています。
もっとも,売主側としては,自分も知らなかったような物件の瑕疵について,長期間にわたり,買主から瑕疵担保責任の追求を受ける可能性があるとすれば,非常に不安定な地位におかれることになります。
そこで,通常では売買契約書の中では,売主の瑕疵担保責任を免除したり,あるいは責任追及できる期間を短縮していることが多いのが実情です。
瑕疵担保責任の規定は,任意規定(当事者の強引よって排除できる規定のことです。)として,これを免除する合意も有効とされています。
瑕 疵担保責任の時効期間は?
では,かように任意での瑕疵担保責任の免除がない場合,買主は,何年経過しても,「瑕疵を発見したときから」1年であれば,瑕疵担保責任を追求できるのでしょうか。この点,判例(最高裁判所平成13年11月27日判決)では,買主の売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権は,売買契約に基づき法律上生ずる金銭支払請求権であることから,他の金銭請求と同様に,10年の消滅時効にかかるとしました。
これは,当事者のおかれた状況から,消滅時効を適用するほうが公平とした判断です。
すなわち,買主としては,売買の目的物の引渡しを受けた後であれば,遅くとも通常の消滅時効期間の満了までの間に瑕疵を発見して損害賠償請求権を行使することを買主に期待しても不合理でないと考えられます。
これに対して,瑕疵担保による損害賠償請求権に消滅時効の規定の適用がないとすると,買主が瑕疵に気付かない限り,買主の権利が永久に存続することになってしまい,これは売主に過大な負担を課するものと言えるからです。
買主としては,適宜点検をするなどして,瑕疵の早めの発見に努めることが肝要です。
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