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法律相談BOX−質問箱−

 ペットが死亡した場合の慰謝料

 私の愛犬が交通事故で死亡しました。
 私は,愛犬について我が子のように愛情を注いで飼育してきました。今回の交通事故で愛犬が死亡して精神的なショックが大きいです。
 慰謝料額としてはどのくらいが認められるのでしょうか?

 裁判例では,3万円から70万円程度まで,ケースバイケースです。

 動 物はモノ?


 法律上は,動物は,「物」として扱われます。たとえば,動物を傷つけた場合には,傷害罪ではなくて,器物損壊罪となります。
 そして,交通事故においても,人損ではなくて物損扱いとなります。
 愛犬,愛猫をお持ちの方には,とても認め難い言い方かも知れませんが,法律上の処理は「生き物」ではなく「物」であるというのが基本なのです。

 愛 犬・愛猫死亡の場合の慰謝料は?

 交通事故等で愛犬・愛猫が死亡した場合の慰謝料は,判例を見る限り3万円程度から70万円程度までバラつきがあるようです。

 たとえば,大阪地裁平成18年3月22日判決は,愛犬の交通事故の事案について慰謝料としては10万円と判示しています。

 これに対して,名古屋高裁平成20年9月30日判決は,交通事故の事案について,近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもあるとして,そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である,と判断しました。
 その上で,損害賠償額として20万円を認めています。

 また,千葉地裁平成17年2月28日判決は,犬のブリーダーが,ペットホテルに犬の飼育管理を委託したところ,ホテル側の過失によって犬が死亡・傷害を負ったという事案について,70万円の慰謝料を認めました。
 判示の中で,債務不履行によって,動産が毀損等した場合において,当該動産に係る財産的損害が填補されるとしても,これによって特段の精神的苦痛を被ったと認められるときは,財産的損害の賠償のほかに,精神的苦痛を慰謝するための慰謝料を請求することができると解するのが相当であるとしています。

 かように,判例はバラつきがありますが,@死亡に至る経緯,A相手方の過失の度合い,B飼育期間等の事情を考慮して判断をしているものです。
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