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法律相談BOX−質問箱−

 失火責任法の重過失とはどのようなものでしょうか?

 仕事が遅くなって帰宅後,ベットから50cmの距離でストーブをつけていたところ,眠ってしまいました。その後,毛布がストーブにかかって,火災が生じてしまい近隣住宅も一部燃えてしまいました。私は,損害賠償の義務を負うのでしょうか?

失火責任法は重過失がある場合のみ,失火の責任を認めていますが,判例上は本事例と同様のもので重過失無しとしたものがあります。
火の責任に関する法律は,失火による損害賠償は,「重過失」ある場合に限るとしています。

 そして,重過失とは一般的に「わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見できた場合で,故意に近い重大な注意力の欠如」とされています。
 簡単に言えば,一般的に「そんな馬鹿なことをしたのか!」というレベルでなければ重過失とは言えません。

 重過失を認めた判例として,例えば,以下のような判例があります。

@寝たばこの火災の危険性を十分認識しながらほとんど,何らの対応策を講じないまま漫然と喫煙を続けて火災を起こした場合
A電力会社が配線が垂れ下がっているのを現認したにもかかわらず,これを放置したために,強風のため電線が切れて家屋の火災が発生した場合
B藁が散乱している倉庫内で煙草を吸って,吸い殻を捨てたために,火災が発生した場合
C石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄したため火災が発生した場合
D石油ストーブに給油する際に石油ストーブの火を消さずに給油したことで,石油ストーブの火がこぼれた石油に着火して火災が発生し場合

 事例を見ると,やはり「そんな馬鹿なことをしたのか」という類のものと言えるかと思います。

 そして,冒頭の事例ですが,同様の事例において,新潟地裁昭和53年5月22日判決は,重過失なしとの判決をしています。

 判決の事例では,深夜6畳の居室内でベットから36センチ離れたところにあるガスストーブに点火して,ベットで寝そべって週刊誌を読んでいるうちに,そのまま寝入ってしまったところ,布団にガスストーブの火が燃え移ったというものです。

 判例は,そのまま寝入ってしまうことも十分に予測できたので,過失はあるものの,寛いだひとときを過ごした後眠りにつくつもりで,ベットに寝そべって週刊誌を読んでいるうちに不覚にも寝入ってしまうということは,一般的に,時として見受けられるところであり,通常人に要求される注意義務を著しく欠いたとまでは言えないと判断しています。

 もっとも,類似の事例で,札幌地裁昭和53年8月22日判決では,重過失を認定しています。
 この判例は,石油ストーブの灯油が切れていたために,電気コンロを点火して寝入ってしまったところ,布団がずり落ちて引火したという事案でした。

 上記の新潟地裁との事例との判断が分かれたのは微妙な面があり,重過失の判断が一様ではないことが伺われます。
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